1 安政3年奉納算額
2 安政5年奉納算額
名称 |
山田八幡神社の算額 |
よみ |
やまだはちまんじんじゃのさんがく |
種別 |
市指定有形文化財 書跡・典籍・古文書 |
員数 |
2面 |
所在地 |
郭町2-30-1(川越市立博物館) |
指定年月日 |
昭和47年2月8日 |
所有者 |
山田八幡神社 |
文化財の概要 |
1 安政3年奉納算額 この算額は、市内府川の八幡神社に奉納された算額2面の内の1面で、安政3年(1856)3月に関流(せきりゅう)戸田新三郎高常の門人63名によって奉納されたものである。額の板の上に和紙を貼って、三つの問題とその答と術(解き方)を記している。法量は、縦56.7センチメートル、横149.0センチメートル。 この算額の第1問は『算法直術正解』(平内延臣著)などに、また第3問 は『観新考算変』(法道寺善著)に同一の問題が掲載されている。 和算家の戸田新三郎高常は志垂(しだれ)村(現川越市山田)に生まれ、初め吉右衛 門と称し、後に新三郎高常と改めた。 戸田家では数名の和算家を輩出しているが、いずれも新三郎を名乗っている。高常は3代目の新三郎で、安政3年正月に没している。算額の奉納が新三郎高常没後の同年3月であることから、門人たちが師の顕彰を意図して奉納したものと考えられる。門人63名の内訳は、志垂村18名、宿粒(しゅくりゅう)村9名、網代(あじろ)村13名、向小久保(むかいおくぼ)村8名、府川村5名、その他10名となっており、近在の者たちがほとんどである。 2 安政5年奉納算額 市内府川の八幡神社に奉納された算額2面の内の他の1面については、安政5年(1858)11月に志垂村戸田喜四郎高次によって奉納されたものである。この算額は、左側がほぼ四角で右側が縦に長い絵馬型をしているなど、珍しい形をしている。残念ながら全体に胡粉(ごふん)等の剥落(はくらく)がひどく、文字の判読が困難な所もあるが、郷土史家の岡村一郎氏の記録には、末尾に「時于 安政五戊午年十一月廿六日 戸田喜四郎高次 当邑住 敬白」とある。 また右側の絵馬型の部分には、「鎮守八幡宮御寳冓諸願成辨」「享和元辛酉季 仲春大吉祥」の文字がある。享和元年(1801)と算額部分の年号の相違については検討すべき課題ではある。法量は、縦右側65.8センチメートル・左側46.8センチメートル、横90.3センチメートル。 奉納者の戸田喜四郎高次については、同じく同社に奉納された安政3年算額の戸田新三郎高常門人中の筆頭に記されていることから、高常に師事して算術を学んでいた人物と考えられる。 |