塩野家住宅
名称 |
塩野家住宅 |
よみ |
しおのけじゅうたく |
種別 |
市指定有形文化財 建造物 |
員数 |
1棟 |
所在地 |
仲町9-9 |
指定年月日 |
昭和56年12月25日 |
所有者 |
個人 |
文化財の概要 |
この建物は、材木商「丹清(たんせい)」の四代目梶田清左衛門によって建てられた町家の文庫蔵だった。建築年代は、棟札から明治27年(1894)2月28日に上棟され、棟梁が西村三代吉だったことがわかっている。 外観は、切妻造妻入で、2階の窓に観音開扉、下屋の西側隅に袖壁が立つ形式を採用し、一見袖蔵だったかのように思われがちであるが、店蔵とは完全に別棟の土蔵で、東側に建っていた店蔵と通路をはさんで並んでいた。間取りは、間口2間奥行2.5間の2階建の母屋と北と東に下屋が付く。母屋は、6畳間と廊下、階段だけの一室空間で、東側は観音開きの土戸が設けられ、母屋全体が防火できるよう工夫されていた。下屋の北側は、母屋と同じように土蔵造で塗籠められ、以前は銘木類を展示するショーウィンドーのような空間だったといわれている。母屋と下屋の境は、現在大きく開放されているが、当初は厚い壁で仕切られ、表通りとは揚戸で戸締りがなされていた。揚戸を日中全面開放させ、火災の際には西側の戸袋から土戸を引出して、揚戸の外側に立てるという、土蔵造町家の戸締りと同じ形式がここでも採用されていたのである。一方東側の下屋部分は、現在台所と便所に使用されているが、当初は文庫蔵への出入口の軒下空間だった。 以上のように、塩野家の文庫蔵は、表通りに面して建つ立地上の特異性と下屋部分に袖壁を設けるなどの防火への工夫において特色のある建築として貴重である。 |