旧川越織物市場
名称 |
旧川越織物市場 |
よみ |
きゅうかわごえおりものいちば |
種別 |
市指定有形文化財 建造物 |
員数 |
2棟 |
所在地 |
松江町2-11-10 |
指定年月日 |
平成17年3月29日 |
所有者 |
川越市 |
文化財の概要 |
旧川越織物市場は、幕末以来隆盛を極めていた織物産業が衰退し始めた明治43年(1910)に川越織物業界の巻き返しを計るため建設されたもので、敷地は南北に走る旧川越街道と大正浪漫夢通り、蓮馨寺から伸びる立門前通(たつもんぜんどおり)、その北側を東西に走る鉄砲町通りに囲まれた街区に位置している。 建物の配置は、南北に長い建物が東西2棟、真ん中の広場を介して向かい合って建ち、東棟は15間、西棟は18間の長大な間口をもち、奥行はどちらも3間である。東棟は南側がL字形になっており、そこに組合事務所が置かれていた。 それぞれの棟の前面に奥行1間の開放された下屋が付き、市場の賑わい場所を提供していた。東西どちらの棟も屋根は基本的に伝統的町家と同じ切妻造平入だが、東棟南側のL字に折れた部分だけ、寄棟造になっている。 棟形式は熨斗積みで、屋根葺材は上屋が桟瓦、下屋がトタンで、2階の軒も出桁造を採用しているが、総体的に地味で簡素な印象を与えている。2階窓は出子と戸袋が規則的に配され、1階は深く開放的な下屋空間が広がる。間取りについては、店は東棟に10、西棟に12あり、それぞれ間口1間半の同じ間取りで構成され、3尺幅の前土間と6畳間が店空間で、奥の廊下に2階への階段がある。 店と下屋との間の建具は、揚戸形式で全面開放できるようになっており、市が開かれる時は、中央の広場、広い下屋、店が一体となって賑わいを見せていたのである。 旧川越織物市場は、市場が廃止された後、長屋形式の住宅として転用さ れ、一時は解体してマン ションに建てかえられる 危機に遭遇したが、全国 でも唯一と思われる明治 期における織物市場の建 築遺構であることから保 存され、文化創造のイン キュベーション施設とし て蘇ることになっている。 |