県指定文化財 黒地小花模様小紋帷子
最終更新日:2018年3月2日
指定名称
黒地小花模様小紋帷子
(よみ)くろじこばなもようこもんかたびら
員数
1領
指定種別
県指定有形文化財・工芸品
指定日・指定番号
平成30年2月27日
(平成24年2月21日に市文化財指定された)
所在地
川越市小仙波町1丁目20番地1(喜多院)
文化財の概要
喜多院に伝わる小紋染の帷子である。帷子とは小袖型で麻地一単の夏用の衣類をいう。
身丈は136cm(注1)、裄は61.3cm、布幅は33.5cm。生地は、薄く張りがある平織の上布。染めは、型紙を使い、大豆の豆汁と墨を顔料に刷毛を使って染める引き染め。文様は、葵の葉(直径約1.8cm)を小花風に様式化して散らし、その葉の間に鐶状の葉を配した小紋。また、五紋の葵紋を前に2ヶ所、後ろの3ヶ所染め付ける。
衣料は、汗染みはないものの、襟の首まわりに汚れがあり、また摩耗により薄くなっているところがあることから実際に着用されているが、保存状態は良好である(注2)。
小紋染の最古例とされる伝上杉謙信所用「黄麻地小花文様小紋帷子」や伝徳川家康所用「浅葱地宝尽小紋小袖」などと比較すると、喜多院に伝わる帷子は、初期の素朴な小紋染という印象を受ける。一方で本帷子は、初期の小紋染めの型染めの伝統を受け継ぎながら、意匠的には精緻になり、染めの技術は洗練度を高めている。
形態・仕立て方の面では、室町・桃山時代の特色を備えつつ、立褄(襟の一番下)位置を高くし、身頃を好みの広さにするなど、小袖形態の過渡的様相を示している(注3)。
本帷子の使用者については、三つ葉葵の五ツ紋付であること、地の小紋が小花風に様式化された葵の葉であること、さらに喜多院に伝世されていることから判断して、江戸初期の徳川氏のごく限られた人物の所用の可能性が極めて高いといえる。
注1:桃山時代から江戸時代前期の小袖や帷子はおおむね135から140cm。
注2:かつて左袖に穴があったが、1994年に復元補修が行われている。
注3:古い時代の襟は長く、時代が新しくなるほど短くなって立褄は高くなる。また、初期の小袖は布の織幅いっぱいに無駄なく使っているのに対し、新しくなると着用者の好みに合わせて広くする傾向がある。
お問い合わせ
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