○川越市議会議員政治倫理条例
令和五年三月二十二日
条例第十九号
川越市議会の目指している市民に開かれた議会づくりは、市議会議員に対する市民の信頼によって実現するものである。
そのために、市議会議員は、自ら律する共通の政治倫理に基づき、公職にある者として高い倫理観及び良識並びに市民を代表する誇りを持ってその職責を担い、説明責任を果たしていくことが求められる。
よって、ここに市議会議員と市民の信頼関係を築く基盤として、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、市政に対する市民の信頼に応えるため、市議会議員(以下「議員」という。)が、議員は市民の厳粛な信託を受けた者であることを認識し、並びに市民全体の奉仕者として人格及び倫理の向上に努めるとともに、いやしくもその地位による影響力を不正に行使して自己の利益を図ることのないよう必要な措置を定め、もって清廉かつ公正で、開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(議員の責務)
第二条 議員は、自ら研鑚を積み、その資質を高めるとともに、市民の信頼に値する高い倫理観が必要であることを自覚し、良心及び責任感を持って、その品位の保持に努めなければならない。
2 議員は、第五条に規定する政治倫理基準に反する行為を行った疑いがあると思料されるときは、自ら誠実に当該行為に関してその説明を行い、及びその責任を明らかにしなければならない。
(市民の責務)
第三条 市民は、主権者として自ら市政に参加し、公共の利益を実現する責任を担うとともに、議員に対して、その地位による影響力を不正に行使させるような働きかけを行ってはならない。
(宣誓書の提出)
第四条 議員は、この条例を遵守する旨の宣誓書を、その任期開始の日から三十日以内に議長に提出するものとする。
(政治倫理基準等)
第五条 議員は、議会及び議員の名誉及び品位を重んじ、法令、条例その他の社会の規範のほか、次に掲げる議員の政治倫理に関する基準(以下「政治倫理基準」という。)を遵守しなければならない。
二 市職員等の権限又は地位による影響力を不正に行使するよう働きかけないこと。
三 市職員等の採用、昇任、降任、転任その他の人事について、特定の個人が有利又は不利になるよう働きかけないこと。
四 市、出資法人又は指定管理者が行う工事等の請負契約、委託契約若しくは物品納入契約又は許可、認可その他の処分に関し、特定のものに有利又は不利になるよう働きかけないこと。
五 指定管理者の指定又は市が行う補助金の交付に関し、特定のものに有利又は不利になるよう働きかけないこと。
六 不当な差別的取扱い又は言動、虐待、性的な言動、名誉若しくは社会的信用を失墜させ、又は誹謗中傷をする言動その他の人権侵害のおそれのある行為をしないこと。
2 議員及びその後援団体は、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)及び政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)を遵守し、寄附等に関する禁止事項について、市民、企業、団体等に理解を求めるよう努めなければならない。
2 議員は、兼業報告書の内容に変更があったときは、遅滞なくその旨を記載した書面(次項において「兼業変更報告書」という。)を議長に提出しなければならない。
3 議長は、議員が兼業報告書又は兼業変更報告書を提出したときは、当該議員が議員として在任している間、当該兼業報告書又は兼業変更報告書を市民の閲覧に供するものとする。
(市が行う契約に対する遵守事項)
第七条 議員若しくはその配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、一親等内の血族若しくは同居の親族が経営する法人等又は議員が実質的に経営に関与する法人等は、地方自治法第九十二条の二の規定の趣旨を尊重し、市が行う工事等の請負契約、委託契約及び物品納入契約の相手方となることを辞退するよう努めなければならない。
2 前項の「議員が実質的に経営に関与する法人等」とは、次に掲げるものをいう。
一 議員がその経営方針に関与している法人等
二 議員が資本金その他これに準ずるものの三分の一以上を出資している法人等
(指定管理者の指定に関する遵守事項)
第八条 議員は、自らが取締役等をしている法人等が指定管理者に指定されたときは、当該法人等の取締役等を辞任しなければならない。
一 市民が審査の請求をする場合 地方自治法第七十四条第一項に規定する選挙権を有する者(審査の請求をする時において、市の選挙人名簿に登録されている者に限る。)の総数の五十分の一以上の者
二 議員が審査の請求をする場合 川越市議会議員定数条例(平成十一年条例第二十九号)に定める議員の定数の四分の一以上の議員
2 審査の請求は、当該審査の請求に係る行為があった日の翌日から起算して一年を経過したとき、又は当該行為をした議員がその職を失ったときは、することができない。
(審査会の設置)
第十条 議長は、前条の規定による有効な審査の請求があったときは、これを審査するため、川越市議会議員政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を設置する。
2 審査会は、委員十人以内をもって組織する。
3 委員は、社会的信望があり、かつ、地方行政に関し高い識見を有する者のうちから、議長が委嘱し、又は指名する。
4 委員の任期は、当該審査の請求に係る事案について、第十二条第一項の規定による報告をするまでの期間とする。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
6 委員は、公平かつ適切にその職務を遂行しなければならない。
(審査会の審査)
第十一条 審査会は、当該審査の請求の内容について、政治倫理基準等に関する規定に違反する行為の存否を審査するものとする。
2 前項の場合において、審査会は、当該審査の請求の対象とされた議員(以下「審査対象議員」という。)に対する事情聴取その他の必要な調査を行うことができる。
3 審査会は、審査対象議員に対し、弁明の機会を与えなければならない。
4 審査会は、委員の過半数の出席がなければ会議を開くことができない。
5 審査会の会議は、公開とする。ただし、出席委員の過半数の同意により非公開とすることができる。
(審査結果の報告等)
第十二条 審査会は、前条第一項の規定による審査を終了したときは、議長に対し、その審査の結果を報告しなければならない。
2 審査会は、審査対象議員の名誉を回復することが必要であると認めるときは、所要の措置を講ずるよう議長に求めることができる。
(意見書の提出及び公表)
第十四条 審査対象議員は、前条の規定による通知を受けたときは、当該通知の内容について、指定された期限までに議長に対し意見書を提出することができる。
2 議長は、前項の規定により意見書が提出されたときは、当該意見書を公表するものとする。
(措置及び公表)
第十五条 審査対象議員は、自己に関する審査の結果において、自己の行為が政治倫理基準等に関する規定に違反している旨の指摘がなされたときは、これを尊重して、第一条の目的を達成するために必要な措置を講じなければならない。
2 議長は、審査対象議員が前項の措置を講じないときは、議会の名誉及び品位を守り、並びに市民の信頼を回復するために必要な措置を講ずるものとする。
(委任)
第十六条 この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。
附則
1 この条例は、令和五年五月二日から施行する。
2 第九条の規定は、この条例の施行の日以後に行われた政治倫理基準等に関する規定に係る行為(不作為を含む。)について適用する。