○川越市伝統的建造物群保存地区保存条例

平成十年六月二十三日

条例第十九号

(目的)

第一条 この条例は、文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号。以下「法」という。)第百四十三条第一項の規定に基づき、本市が都市計画に定める伝統的建造物群保存地区に関し、現状変更の規制その他その保存のため必要な措置を定め、もって市民の文化的向上に資することを目的とする。

(平一七条例一一・一部改正)

(定義)

第二条 この条例において「伝統的建造物群」とは、法第二条第一項第六号に規定する伝統的建造物群をいう。

2 この条例において「伝統的建造物群保存地区」とは、法第百四十二条に規定する伝統的建造物群保存地区をいう。

(平一七条例一一・一部改正)

(保存計画)

第三条 教育委員会は、本市が都市計画に伝統的建造物群保存地区(以下「保存地区」という。)を決定したときは、川越市伝統的建造物群保存地区保存審議会の意見を聴いて当該保存地区の保存に関する計画(以下「保存計画」という。)を定めなければならない。

2 保存計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

 保存地区の保存に関する基本計画に関する事項

 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物(建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物をいう。以下同じ。)その他の教育委員会規則で定める工作物(以下「伝統的建造物」という。)及び伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件(以下「環境物件」という。)の決定に関する事項

 保存地区内における建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)及び環境物件の保存整備計画に関する事項

 保存地区内における建築物等及び環境物件に係る助成措置等に関する事項

 保存地区の保存のため必要な管理施設及び設備並びに環境の整備に関する事項

3 教育委員会は、保存計画を定めたときは、これを告示しなければならない。

4 第一項及び前項の規定は、保存計画の変更の場合について準用する。

(現状変更行為の規制)

第四条 保存地区内における次に掲げる行為については、あらかじめ、市長及び教育委員会の許可を受けなければならない。

 建築物等の新築、増築、改築、移転又は除却

 建築物等の修繕、模様替え又は色彩の変更でその外観を変更することとなるもの

 宅地の造成その他の土地の形質の変更

 木竹の伐採

 土石の類の採取

2 前項の規定にかかわらず、次に掲げる行為については、同項の規定による許可を受けることを要しない。

 非常災害のため必要な応急措置として行う行為

 次に掲げる工作物(建築物以外の工作物をいう。以下同じ。)の新築、増築、改築、移転又は除却(の仮設の工作物については、除却を除く。)

 仮設の工作物

 水道管、下水道管、井戸その他これらに類する工作物で地下に設けるもの

 次に掲げる木竹の伐採

 間伐、枝打ち又は整枝等木竹の育成のため通常行われる木竹の伐採

 枯死、損傷又は危険な木竹の伐採

 森林病害虫等防除のための木竹の伐採

 自家の生活の用に充てるために必要な木竹の伐採

 仮植した木竹の伐採

 前三号に掲げるもののほか、次に掲げる行為

 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為

 埼玉県公安委員会が行う道路標識等の設置又は管理に係る行為

3 市長及び教育委員会は、第一項の許可をする場合には、保存地区の保存のため必要な限度において条件を付すことができる。

(許可の基準)

第五条 市長及び教育委員会は、前条第一項各号に掲げる行為で次に定める基準(市長にあっては、第八号に定める基準)に適合しないものについては、同項の規定による許可をしてはならない。

 伝統的建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における当該伝統的建造物の移築を含む。以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物の位置及び移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。

 建築物等(伝統的建造物を除く。次号及び第六号において同じ。)の新築、増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該建築物等の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

 建築物等の移転については、移転後の当該建築物等の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

 建築物等の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

 前条第一項第三号から第五号までの行為については、それらの行為後の地ぼうその他の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。

 前各号に定めるほか、当該行為後の建築物等又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものであること。

(許可に関する特例)

第六条 国若しくは地方公共団体の機関又は法令の規定により国の行政機関若しくは地方公共団体とみなされた法人(以下「国の機関等」という。)が行う行為(次条に規定する行為を除く。)については、第四条第一項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関等は、第四条第一項の許可に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、市長及び教育委員会に協議しなければならない。

第七条 文化財保護法施行令(昭和五十年政令第二百六十七号)第四条第六項各号に規定する行為及びこれらに類する行為で保存地区の保存に著しい支障を及ぼすおそれがないものとして教育委員会規則で定めるものについては、第四条第一項の規定は適用しない。この場合において、当該行為をしようとする者は、あらかじめ、市長及び教育委員会にその旨を通知しなければならない。

(許可の取消し等)

第八条 市長及び教育委員会は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、保存地区の保存のため必要な限度において、第四条第一項の許可を取り消し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは期限を定めて建築物等の改築、移転若しくは除却その他違反を是正するため必要な措置を執ることを命ずることができる。

 この条例の規定又はこれに基づく処分に違反した者

 この条例の規定若しくはこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者

 第四条第三項の規定により付された条件に違反している者

 詐欺その他不正な手段により第四条第一項の許可を受けた者

2 市長及び教育委員会は、前項の規定により、処分をし、又は必要な措置を執ることを命じようとするときは、あらかじめ、川越市伝統的建造物群保存地区保存審議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合については、この限りでない。

(経費の補助等)

第九条 市は、保存地区内における建築物等及び環境物件の管理、修理、修景又は復旧について、自ら保存のため適当な措置を行い、又は当該物件の所有者等に対しその経費の一部を補助することができる。

(審議会の設置等)

第十条 市長及び教育委員会の諮問に応じ、保存地区の保存等に関する重要事項について調査及び審議をし、並びにこれらの事項について市長及び教育委員会に建議するため、川越市伝統的建造物群保存地区保存審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、委員十二人以内で組織し、次に掲げる者のうちから、教育委員会が委嘱する。

 学識経験者

 関係行政機関の職員

 関係地域を代表する者

3 委員の任期は、二年とする。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 前三項に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(罰則)

第十一条 次の各号の一に該当する者は、五万円以下の罰金に処する。

 第四条第一項の規定に違反した者

 第八条第一項の規定に基づく命令に違反した者

(両罰規定)

第十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業員が、その法人又は人の業務又は財産の管理に関して前条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、前条の刑を科する。

(委任)

第十三条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長及び教育委員会が別に定める。

1 この条例は、最初の伝統的建造物群保存地区に係る都市計画の決定の告示があった日から施行する。ただし、第十条の規定は、公布の日から施行する。

(最初の伝統的建造物群保存地区に係る都市計画の決定の告示があった日 平成一一年四月九日)

2 川越市文化財保護条例(昭和五十二年条例第二十三号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

(平成一七年三月二四日条例第一一号)

この条例は、平成十七年四月一日から施行する。

川越市伝統的建造物群保存地区保存条例

平成10年6月23日 条例第19号

(平成17年4月1日施行)