○川越市文化財保護条例

昭和52年4月1日

条例第23号

川越市文化財保護条例(昭和32年条例第32号)の全部を改正する。

(目的)

第1条 この条例は、市の区域内に所在する文化財を保存し、かつ、その活用を図り、もつて市民の文化的向上に資するとともに、我が国文化の進歩に貢献することを目的とする。

(文化財の定義)

第2条 この条例で「文化財」とは、次に掲げるものをいう。

(1) 建造物、絵画、彫刻、工芸品、書跡、典籍、古文書その他の有形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(これらのものと一体をなしてその価値を形成している土地その他の物件を含む。)並びに考古資料及びその他の学術上価値の高い歴史資料(以下「有形文化財」という。)

(2) 演劇、音楽、工芸技術その他の無形の文化的所産で我が国にとつて歴史上又は芸術上価値の高いもの(以下「無形文化財」という。)

(3) 衣食住、生業、信仰、年中行事等に関する風俗慣習、民俗芸能、民俗技術及びこれらに用いられる衣服、器具、家屋その他の物件で我が国民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの(以下「民俗文化財」という。)

(4) 貝づか、古墳、都城跡、城跡、旧宅その他の遺跡で我が国にとつて歴史上又は学術上価値の高いもの、庭園、橋りようその他の名勝地で我が国にとつて芸術上又は観賞上価値の高いもの並びに動物(生息地、繁殖地及び渡来地を含む。)、植物(自生地を含む。)及び地質鉱物(特異な自然の現象の生じている土地を含む。)で我が国にとつて学術上価値の高いもの(以下「記念物」という。)

(5) 地域における人々の生活又は生業及び当該地域の風土により形成された景観地で我が国民の生活又は生業の理解のため欠くことのできないもの

(6) 周囲の環境と一体をなして歴史的風致を形成している伝統的な建造物群で価値の高いもの(以下「伝統的建造物群」という。)

(平10条例19・平17条例10・一部改正)

(市民、所有者等の心構え)

第3条 市民は、市がこの条例の目的を達成するために行う措置に誠実に協力しなければならない。

2 文化財の所有者その他の関係者は、文化財が貴重な国民的財産であることを自覚し、これを公共のために大切に保存するとともに、できるだけこれを公開する等その文化的活用に努めなければならない。

3 川越市教育委員会(以下「教育委員会」という。)は、この条例の執行に当たつては、関係者の所有権その他の財産権を尊重するとともに、文化財の保護と他の公益との調整に留意しなければならない。

(文化財保護審議会)

第4条 教育委員会の諮問に応じて文化財(伝統的建造物群を除く。以下同じ。)の保存及び活用に関する事項を調査審議し、並びにこれらの事項について建議するため、川越市文化財保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、文化財に関し広くかつ高い識見を有する者のうちから、教育委員会が任命する12人以内の委員で組織する。

3 委員の任期は、2年とする。ただし、委員が欠けた場合の補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

4 専門の事項を調査するため必要があるときは、臨時に専門調査員を置くことができる。

5 前各項に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

(平10条例19・一部改正)

(指定)

第5条 教育委員会は、市の区域内に所在する文化財のうち市にとつて特に重要なものを市指定有形文化財、市指定無形文化財、市指定民俗文化財(有形のものを市指定有形民俗文化財に、無形のものを市指定無形民俗文化財に区別する。)又は市指定記念物(以下「市指定文化財」という。)に指定することができる。

2 教育委員会は、前項の規定により市指定無形文化財を指定するに当たつては、当該市指定文化財の保持者又は保持団体(無形文化財を保持する者が主たる構成員となつている団体で代表者の定めのあるものをいう。以下同じ。)を認定しなければならない。

3 第1項の規定による指定をするには、教育委員会は、あらかじめ、指定しようとする文化財の所有者及び権原に基づく占有者(以下「所有者等」という。)又は保持者若しくは保持団体(以下「保持者等」という。)の同意を得なければならない。

4 第1項の規定による指定又は第2項の規定による認定をするには、教育委員会は、あらかじめ、審議会に諮問しなければならない。

(解除)

第6条 教育委員会は、市指定文化財がその価値を失つた場合その他特殊の事由があるときは、その指定を解除することができる。

2 保持者が心身の故障のため保持者として適当でなくなつたと認められる場合、保持団体がその構成員の異動のため保持団体として適当でなくなつたと認められる場合その他特殊の事由があるときは、教育委員会は、保持者等の認定を解除することができる。

3 第1項の規定による指定の解除又は第2項の規定による認定の解除には、前条第4項の規定を準用する。

4 市指定文化財について、文化財保護法(昭和25年法律第214号)又は埼玉県文化財保護条例(昭和30年条例第46号)の規定による指定を受けたときは、当該市指定文化財の指定は、解除されたものとする。

(告示、通知及び指定書等の交付)

第7条 第5条第1項の規定による指定又は同条第2項の規定による認定は、その旨を告示するとともに、当該市指定文化財の所有者等又は保持者若しくは保持団体の代表者に通知してする。

2 前項の規定は、第6条第1項若しくは第4項の規定による指定の解除又は同条第2項の規定による認定の解除の場合に準用する。

3 第5条第1項の規定による指定をしたときは、教育委員会は、当該市指定文化財の所有者に指定書を交付しなければならない。

4 第5条第2項の規定による認定をしたときは、教育委員会は、当該市指定文化財の保持者又は保持団体の代表者に認定書を交付しなければならない。

(所有者の管理義務及び管理責任者)

第8条 市指定文化財の所有者は、この条例並びにこれに基づく教育委員会規則及び教育委員会の指示に従い、市指定文化財を管理しなければならない。

2 市指定文化財の所有者は、特別の事情があるときは、専ら自己に代わり当該市指定文化財の管理の責めに任ずべき者(以下「管理責任者」という。)を選任することができる。

3 管理責任者には、第1項の規定を準用する。

(届出事項)

第9条 市指定文化財の所有者、管理責任者又は保持者若しくは保持団体の代表者は、次の各号の一に該当するときは、速やかにその旨を教育委員会に届け出なければならない。

(1) 所有者が変更したとき。

(2) 管理責任者を選任又は解任したとき。

(3) 所有者、管理責任者、保持者又は保持団体の代表者の氏名又は住所が変更したとき。

(4) 保持団体が名称若しくは代表者を変更し、構成員に異動を生じ、又は解散したとき。

(5) 市指定文化財が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたとき。

(6) 市指定文化財の所在の場所を変更しようとするとき。

(7) 市指定文化財を修理又は復旧しようとするとき。

(8) 市指定文化財を公開しようとするとき。

(管理、修理又は保存に関する勧告等)

第10条 教育委員会は、市指定文化財のうち保存のため必要であると認めるときは、所有者又は管理責任者に対し、管理方法の改善、保存施設の設置その他管理に関し必要な措置を勧告することができる。

2 教育委員会は、市指定文化財がき損している場合において、その保存のため必要があると認めるときは、所有者又は管理責任者に対し、その修理について必要な勧告をすることができる。

3 教育委員会は、市指定文化財の保持者等その他その保存に当たることを適当と認める者に対し、当該市指定文化財の保存のため必要な助言又は勧告をすることができる。

4 前3項の規定による勧告又は助言に基づいてする措置又は修理のために要する費用は、予算の範囲内でその一部を市の負担とすることができる。

(現状変更等の制限)

第11条 市指定文化財に関しその現状を変更し、又はその保存に影響を及ぼす行為をしようとするときは、教育委員会の許可を受けなければならない。

2 教育委員会は、前項の許可を与える場合において、その許可の条件として同項の現状変更又は保存に影響を及ぼす行為に関し必要な指示をすることができる。

(管理、修理又は保存の補助)

第12条 市指定文化財の管理、修理又は保存につき多額の経費を要し、所有者、保持者等又は保存に当たることを適当と認める者がその負担に堪えない場合その他特別の事情がある場合には、市はその経費の一部に充てるため、予算の範囲内で補助金を交付することができる。

2 前項の補助金を交付する場合には、教育委員会は、その補助の条件として管理、修理又は保存に関し必要な事項を指示するとともに、必要があると認めるときは、指揮監督することができる。

(譲渡の承認)

第13条 市指定文化財の所有者が、市の補助を受け必要な措置を行つた後、当該市指定文化財を譲り渡そうとするときは、教育委員会の承認を得なければならない。

2 教育委員会は、前項の規定に違反して所有者が市指定文化財を

譲り渡したときは、既に交付した補助金の全部又は一部を返還させることができる。

(公開)

第14条 教育委員会は、市指定文化財の所有者、保持者等又は保存に当たることを適当と認める者に対して教育委員会の行う公開の用に供するため当該市指定文化財を出品又は出演することを勧告することができる。

2 前項の規定による出品又は出演のために要する費用は、予算の範囲内で、その全部又は一部を市の負担とすることができる。

(調査及び報告)

第15条 教育委員会は、必要があると認めるときは、文化財の所有者等、保持者等又は保存に当たる者の同意を得て、文化財を調査することができる。

2 教育委員会は、必要があると認めるときは、市指定文化財の所有者、管理責任者、保持者等又は保存に当たることを適当と認める者に対し、当該市指定文化財の現状又は管理等の状況について報告を求めることができる。

(委任)

第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、教育委員会規則で定める。

1 この条例は、公布の日から施行する。

2 この条例の施行の際従前の条例の規定により指定されている市指定文化財は、この条例の規定により指定されたものとみなす。

(平成10年6月23日条例第19号)

1 この条例は、最初の伝統的建造物群保存地区に係る都市計画の決定の告示があった日から施行する。

(平成17年3月24日条例第10号)

この条例は、平成17年4月1日から施行する。

川越市文化財保護条例

昭和52年4月1日 条例第23号

(平成17年4月1日施行)