第6回:日油技研工業株式会社(元気もりもり企業訪問記)
森田市長による企業訪問事業「元気もりもり企業訪問記」、第6回の訪問先は日油技研工業株式会社です。
令和8年7月15日(水曜日)に川越市的場新町にある本社・川越工場を訪問し、小田勝(おだまさる)代表取締役社長をはじめ、社員の方々から同社が手掛ける事業に関するお話を伺ってきました。以下、訪問の詳細をご紹介します。
訪問企業の概要
日油技研工業株式会社は、「海洋から宇宙まで」をキャッチフレーズに掲げ、独創性のある技術やサービスを国内外に提供する化学品メーカーです。
同社は、前身である帝国火工品製造株式会社として1938年に設立してからおよそ90年間にわたり、川越市に本社及び工場を立地しています。帝国火工品製造株式会社は設立当初、工業用雷管の供給会社として成長していきました。後に示温材(温度変化に伴って色が変化する資材)や宇宙ロケット用固体推進薬(推進剤)の製造にも取り組むなど事業領域を拡大していきますが、その後の経営を取り巻く環境の変化に伴って事業再編を進め、現在の日油技研工業株式会社となりました。
同社は現在日油グループの化薬事業の中核をなしていますが、親会社である日油株式会社とは互いの技術やノウハウを共有するなど、前身会社の設立時から現在に至るまで緊密に連携しながら成長を続けています。
本社・川越工場を訪問
(資料提供:日油技研工業株式会社)
今回訪問した本社・川越工場は、93,868平方メートル、およそ東京ドーム2個分もの広い事業敷地の中に、事務棟のほか工場や研究施設等が整備されています。同社は本社‧川越⼯場のほかに、東京都豊島区と⼤阪府⼤阪市に営業拠点を構えています。
本社では、小田社長のほか、取締役工場長の谷質生(たにすなお)様、副工場長の山下佳明(やましたよしあき)様、管理本部長の齊藤宏明(さいとうひろあき)様、研究開発部長の倉品祐二(くらしなゆうじ)様、総務部総務グループリーダーの伊藤牧子(いとうまきこ)様、総務部総務グループの細野博之(ほそのひろゆき)様が出迎えてくださりました。冒頭で森田市長から日頃からの地域へのご貢献に対する感謝のことばを述べた後、同社の事業内容についてお話を伺いました。
右:日油技研工業株式会社の皆様
日油技研の取り組み
同社は、化学品の開発、製造及び販売を行っている企業ですが、扱う製品は主に民需向けの機能製品と官需向けの特機製品に分けられます。具体的には、以下のような製品が挙げられます。
|
製品分類 |
内容 | 主な用途 | |
|---|---|---|---|
| 機能製品 |
温度管理用示温材 |
ケミカルインジケータの一種。素材の化学反応によって生じる色調変化により、異常発熱等によって生じる温度変化を検知し可視化するラベル、テープ、塗料など |
工場等の製造現場 |
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滅菌資材 |
ケミカルインジケータの一種。医療器具などの滅菌処理工程や滅菌条件の達成状況を検知し可視化するバッグ(袋)、ラベル、カードなど |
医療現場 | |
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海洋機器 |
海底資源探査や海底地質調査時に使用される観測・計測器など |
海洋開発 | |
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電設器材 |
送電線や鉄塔を遠隔監視し落雷や鳥獣害等による地絡故障を検知する装置など | 電力供給 | |
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建設資材 |
トンネル工事用の岩盤固結剤や土木・建設工事用のアンカー用固着剤など |
施工現場 |
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| 特機製品 | 化工材 |
自己燃焼性に優れた焼尽材(火薬を包む容器になるもの) |
特機事業 |
| 火工品 |
ロケット用の燃料に点火する装置や火薬の燃焼エネルギーで作動する分離装置など |
宇宙開発 |
帝国火工品製造株式会社として火薬類を専門に扱い、事業を拡大してきた同社の歴史が培ってきた固有の技術や知恵を発展させることによって、ユニークな製品が次々に生み出され、現在ではこのように多彩な製品群を誇っています。
主に企業や公的機関向けのものが多く、一般消費者が目にする機会は多くないかもしれませんが、身近なものづくりや医療の現場から宇宙・海洋開発事業まで、非常に広範な分野で同社製品が活用され、作業の安全性や正確性を支えています。この業務領域の広さからも、同社の人や社会への貢献度合いがわかります。
小田社長も「扱う事業が多岐にわたり、事業敷地内に研究施設も整備されているので、従業員には気持ちよく働いてもらえているのでは。」と話していました。
それに加え、ユニークなものづくりのバックボーンになっているのが同社の企業風土です。
同社は、『独創性のある技術とサービスを提供し、人と社会に貢献します』を経営理念に、『知恵・協調・参加』を社是に掲げています。社会の変化に伴って多様化する顧客のニーズを捉え、従業員一人ひとりが自身の知識やアイディアを活かして協働し、積極的に物事に関わっていく姿勢を大切にしています。日常的に自由な発想が交わされるような企業文化が、同社ならではの独創性ある製品を創造するための原動力になっています。
また、従業員のワーク・ライフバランスの充実にも積極的に取組んでおり、埼玉県から「多様な働き方推進企業」のプラチナ認定を受けています。休暇制度も整えられ、2025年の育児休暇取得率は男女ともに100パーセントとのこと。
同社の事業運営のための多角的なアプローチに市長も大いに感心している様子でした。
川越工場見学
続いて、川越工場を見学しながら製品やサービスの一部をご紹介いただきました。
ケミカルインジケータ
中・右:多彩な製品の一部。示温材(中)と滅菌材(右)
示温材や滅菌バッグなどの実物を見せていただきました。
同社の示温材は、特定の温度になったときに変色するもの、温度変化に応じて徐々に変色するもの、可逆的・不可逆的なものなど様々で、形態もラベル、テープ、ペン状のものがあり、多種多様な用途が想像できます。身近な使用例で言えば、ラベル状のものは鉄道車両の車軸に取り付けて、摩擦によって生じる異常発熱を検知するために活用され、日々の安全運行を支えています。
滅菌バッグは医療器具の滅菌状態を可視化するもので、安全な医療サービスの提供のために欠かせない存在として医療現場で活用されています。
海洋事業
中・右:「CPTデータ取得サービス」で使用する大型の装置
続いて海洋事業についてお話を伺いました。
ご紹介いただいたのは、同社が行っている海底地盤調査向けの「CPTデータ取得サービス」です。「CPT」とは、海底の硬さや強さを調べるコーン貫入試験(Cone Penetration Test)のこと。写真中央の水中用装置にはコーン(円錐状のセンサー)が取付けられており、それを右写真の青い海上用装置で操作し、専用モニターで監視するというように、それぞれの機能が一体化された仕組み。海底の地盤にコーンを押し込み、その抵抗力の大きさから地盤の硬さや強度を測定します。
試験の結果は日本の洋上風力発電建設や海底ケーブル敷設のための海洋開発事業で活用されます。同社は、2025年から新たにこのサービスを始め、自社開発の装置と専門のオペレータを派遣し、海底調査事業のコストダウンに貢献しています。
宇宙事業
最後に、宇宙事業をご紹介いただきました。
同社はロケットに不可欠な点火用・分離用の各種火工品の開発・製造も行っています。親会社である日油株式会社はロケットの燃料の製造を担っており、前身会社の時代から両社で連携し日本の宇宙事業を長年支えています。同社の製品は、「H3ロケット」「はやぶさ」「はやぶさ2」にも使用され、日本の産業競争力の発展、安全保障の確保、更には世界の化学技術の進歩にも大きく貢献しています。
小田社長との対談
工場見学後、小田社長をはじめ幹部職員の皆様と森田市長との対談が行われ、改めて同社の取り組みや今後の事業展望についてお話を伺ったほか、市政に対する意見交換も行われました。
Q:貴社の強みについてどのようにお考えでしょうか。
A:ユニークで多彩な高付加価値の製品を扱っていること。またそういった製品を生み出す企業風土が根付いていることです。
Q:川越に本社・工場を立地されているメリットについてどのようにお考えでしょうか。
A:市の知名度が全国的に高いこと。さらに、交通利便性が高く、都心からのアクセスが優れていることだと考えています。
Q:今後の事業展望についてお聞かせください。
A:たくさんの人に弊社の取組みを知っていただけるよう、企業広報にも力を入れていきたいと考えています。川越市に在住・通学している学生の皆さんにもぜひ関心を持っていただきたいです。
また、100周年企業を目指して今後も挑戦を続けていきます!地元住民、企業、行政の皆様とも積極的に連携していきたいと考えています。
おわりに
今回も普段見ることのできない現場の様子を直に拝見し、大変貴重な時間を過ごすことができました。
伺ったお話や、訪問の時間を通して形作られていた和やかかつ活気のある空気感から、従業員間の世代の壁を越え一丸となって挑戦を続ける企業風土が醸成されていることが伝わってきました。地域を超えて広く社会に貢献してくださっている同社が川越に立地してくださっていることを大変心強く思った次第です。
今後も多方面でご活躍され、地域を力強く牽引してくださることでしょう!
(左から、倉品研究開発部長、齊藤管理本部長、小田社長、森田市長、谷取締役工場長、山下副工場長)
ご協力を賜りました日油技研工業株式会社の皆様方に心より感謝申し上げます。
「元気もりもり企業訪問記」とは
日頃から市内経済に活力を与えてくれている市内企業を市長が訪問します。企業の取り組みを直接見聞きし、市政等に関する意見交換を行うことにより、本市の立地環境の現状や企業ニーズ・課題の把握に努めるとともに、行政と企業間の連携を強化し、市内経済のさらなる活性化を図ります。また、市内企業の取り組みや魅力を広く情報発信し、本市の産業振興の支援に繋げていきます。
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