○川越市議会ハラスメント根絶条例
平成三十一年三月七日
条例第一号
市民から負託を受けた市議会議員及び市長並びに全ての市の職員は、市政に携わる権能と責務を深く自覚し、地方自治の本旨を体するとともに、住民の全体の奉仕者として住民の福祉向上に努めなければならない。
ハラスメントは、業務への支障につながり、ひいては市民サービスが低下し、市民のみならず社会からの信用及び信頼を失うこととなる。
そのため、身分、職位及び職責にかかわらず、全ての者が互いに人格を尊重し、相互に信頼し合うことで、その能力を十分発揮することができるようにするため、川越市議会は、ハラスメントを防止し、及びその根絶に努め、市の職員の良好な勤務環境の実現を目指すことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第一条 この条例は、全ての市の職員(以下「職員」という。)が個人としての尊厳を尊重された良好な勤務環境を確立するため、市議会議員(以下「議員」という。)によるセクシュアル・ハラスメント、パワー・ハラスメントその他の職員に対する誹謗、中傷、風説の流布等により人権を侵害し、又は不快にされる行為(以下「ハラスメント」という。)の防止及び根絶のための措置等を講じ、及びハラスメントの被害者に配慮することにより、議員によるハラスメントを防止し、及び根絶することを目的とする。
(議長の責務)
第二条 議長は、ハラスメントの防止及び根絶に努めるとともに、議員によるハラスメントがあると認めるときは、迅速かつ適切に必要な措置を講じなければならない。
(議員の責務)
第三条 議員は、市政に携わる権能及び責務を自覚するとともに、常に高い倫理観を持ち、地方自治の本旨に従って、その使命の達成に努めなければならない。
2 議員は、ハラスメントが個人の尊厳を不当に傷つけ、労働意欲を低下させ、及び勤務環境を害するものであること並びに職員が職務遂行上の対等な立場にあることを自覚し、並びに職員の人格を尊重した活動をしなければならない。
3 議員は、当該議員によるハラスメントがあると疑われたときは、自ら誠実な態度を持って疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明確にするよう努めなければならない。
4 議員は、職員に対しハラスメントに当たる行動又は言動を行っていると認められる事態に遭遇したときは、当該行動又は言動を行っている者に対し厳に慎むべき旨を指摘するよう努めなければならない。
(研修等)
第四条 議長は、ハラスメントの防止及び根絶を図るため、議員に対し必要な研修等を実施しなければならない。
(事実関係の把握等)
第五条 議長は、職員からハラスメントに関する苦情の申出があったときは、別に定めるところにより、速やかに、当該苦情に係る事実関係を把握し、及び今後のハラスメントの防止策を講ずるものとする。この場合において、議長は、川越市議会政務活動費交付条例(平成十三年条例第九号)第二条に規定する会派(次条において「会派」という。)を代表する者から意見を聴くものとする。
(公表等)
第六条 議長は、前条により議員によるハラスメントがあったことを確認したときは、当該ハラスメントを行った議員の氏名の公表その他の必要な措置を講じなければならない。
2 議会は、市長から議員によるハラスメントがあったことを報告されたときは、会派を代表する者から意見を聴き、当該ハラスメントを行った議員の氏名の公表その他の必要な措置を講じなければならない。
(被害者のプライバシーの保護等)
第七条 議員は、ハラスメントの被害者のプライバシーの確保に十分配慮し、当該ハラスメントに関し職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。
(委任)
第八条 この条例の施行に関し必要な事項は、議長が別に定める。
附則
1 この条例は、公布の日から施行する。
2 議会は、この条例の施行後三年以内に、この条例の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。