○川越市良好な環境の保全に関する基本条例

平成18年9月25日

条例第36号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第8条)

第2章 環境の保全に関する基本方針等(第9条―第12条)

第3章 環境の保全に関する施策(第13条―第27条)

第4章 地球環境保全の推進(第28条―第30条)

第5章 川越市環境審議会(第31条)

附則

人は、豊かな自然の恵みの下に、その生命をはぐくみ、活力ある今日の社会を築いてきた。

私たちのまち川越は、荒川、入間川、伊佐沼などの水辺空間や武蔵野の面影を残す雑木林など恵まれた自然環境の下で、蔵造りの町並み、時の鐘、川越まつりなどの多くの歴史的又は文化的遺産を継承し、市民の活力と英知により今日まで発展を続けてきた。

一方、便利さや物質的な豊かさを求めて様々な資源やエネルギーを大量に消費する社会経済活動は、自然の再生能力や浄化能力を超えるような規模となり、その結果、地域の環境問題だけでなく、すべての生物の生存基盤である地球の環境を脅かすまでに至っている。

もとより、私たちは、良好な環境の下に、健康で文化的な生活を営む権利を有するとともに、このかけがえのない環境を健全で恵み豊かなものとして、将来の世代に引き継ぐ責務を有している。

ここに、私たちは、市、市民、事業者等それぞれの役割の下に、自主的かつ積極的にその責務を果たし、協働することによって、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築するとともに地球環境の保全に貢献していくため、この条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、環境の保全(良好な環境の創造を含む。以下同じ。)について、基本理念を定め、及び市、市民、事業者等の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 地球環境保全 人の活動による地球全体の温暖化又はオゾン層の破壊の進行、海洋の汚染、野生生物の種の減少その他の地球の全体又はその広範な部分の環境に影響を及ぼす事態に係る環境の保全であって、人類の福祉に貢献するとともに市民の健康で文化的な生活の確保に寄与するものをいう。

(3) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境(人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含む。以下同じ。)に係る被害が生ずることをいう。

(基本理念)

第3条 環境の保全は、市民が健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境を確保し、その環境が将来の世代へ継承されるように適切に行われなければならない。

2 環境の保全は、生物の多様性が確保され、人と自然との共生が実現されるように行われなければならない。

3 環境の保全は、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会が構築されるように、市、市民、事業者及び民間団体(市民及び事業者の組織する民間の団体をいう。以下同じ。)のそれぞれの責務に応じた役割分担及び協働の下に積極的に行われなければならない。

4 地球環境保全は、人類共通の課題であり、地域の環境が地球環境に深く関わっていることを認識し、すべての事業活動及び日常生活において積極的に推進されなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全に関する総合的かつ計画的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、その日常生活に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 市民は、基本理念にのっとり、環境の保全のための活動を自主的かつ積極的に行うように努めるとともに、市が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、及び廃棄物を適正に処理し、並びに自然環境を適正に保全するために必要な措置を講じなければならない。

2 事業者は、基本理念にのっとり、物の製造、加工又は販売その他の事業活動を行うに当たっては、その事業活動に係る製品その他の物が使用され、又は廃棄されることによる環境への負荷の低減に資するように努めるとともに、その事業活動において、再生資源その他の環境への負荷の低減に資する原材料、役務等を利用するように努めなければならない。

3 事業者は、基本理念にのっとり、環境の保全のための活動を自主的かつ積極的に行うように努めるとともに、市が実施する環境の保全に関する施策に協力する責務を有する。

(民間団体の責務)

第7条 民間団体は、基本理念にのっとり、その活動に伴う環境への負荷の低減に努めなければならない。

2 民間団体は、基本理念にのっとり、環境の保全のための活動を自主的かつ積極的に行うように努めるとともに、市が実施する環境の保全に関する施策に積極的に協力するように努めなければならない。

(滞在者の責務)

第8条 観光旅行者その他の滞在者は、その滞在に伴う環境への負荷の低減に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全に関する施策に協力するように努めなければならない。

第2章 環境の保全に関する基本方針等

(施策の基本方針)

第9条 市は、基本理念にのっとり、次に掲げる環境の保全に関する基本方針に基づく施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

(1) 市民の健康が保護され、及び生活環境が保全され、並びに自然環境が適正に保全されるように、大気、水、土壌その他の環境の自然的構成要素を良好な状態に保持すること。

(2) 地域の特性を生かした都市景観の形成並びに歴史的又は文化的遺産の保存及び活用により、快適な都市環境を創造すること。

(3) 森林、農地、水辺地等における多様な自然環境の保全を図ることにより、人と自然が共生できる健全で恵み豊かな環境を確保すること。

(4) 資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の発生の抑制等を推進し、及び地球温暖化の防止、オゾン層の保護等を図ることにより、地球環境保全に資する社会を構築すること。

(5) 市、市民、事業者及び民間団体が環境の保全に関し協働して取り組むことができる社会を形成すること。

(環境基本計画)

第10条 市長は、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進していくため、川越市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 環境の保全に関する目標及び施策の基本的な方向

(2) 前号に掲げるもののほか、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、第31条第1項に規定する川越市環境審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、市民、事業者及び民間団体の意見を聴くために必要な措置を講ずるものとする。

5 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

6 前3項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(環境基本計画との整合)

第11条 市は、環境に影響を及ぼすと認められる施策を策定し、及び実施するに当たっては、環境基本計画との整合を図らなければならない。

(年次報告)

第12条 市長は、毎年、環境の状況及び環境の保全に関して講じた施策の実施状況について、報告書を作成し、これを公表するものとする。

第3章 環境の保全に関する施策

(環境影響評価)

第13条 市は、土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行う事業者が、その事業の実施に当たりあらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測又は評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全について適正な配慮ができるように、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(規制の措置)

第14条 市は、公害を防止するため、公害の原因となる行為に対し、必要な規制の措置を講ずるものとする。

2 前項に定めるもののほか、市は、環境の保全上の支障を防止するため、必要な規制の措置を講ずるように努めるものとする。

(財政上の措置)

第15条 市は、環境の保全に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるように努めるものとする。

(施設の整備)

第16条 市は、下水道、廃棄物の処理施設その他の環境の保全上の支障の防止に資する公共的施設及び公園その他の自然との触れ合いを図るための公共的施設の整備を推進するため、必要な措置を講ずるものとする。

(自然環境の確保)

第17条 市は、生物の多様性の確保に配慮しつつ、良好な自然環境を確保するため、緑地及び水環境の保全及び形成に関し必要な措置を講ずるものとする。

(都市景観の形成等)

第18条 市は、地域の特性を生かした快適な都市環境を確保するため、良好な景観の形成並びに歴史的又は文化的遺産の保存及び活用に関し必要な措置を講ずるものとする。

(環境教育及び学習の推進等)

第19条 市は、市民、事業者及び民間団体が環境の保全についての関心と理解を深め、環境への負荷の低減その他の環境の保全に関する活動を行う意欲が増進されるように、環境の保全に関する教育及び学習の推進、広報活動の充実その他の必要な措置を講ずるものとする。

(市民等との協働)

第20条 市は、環境の保全に関する施策について、市民、事業者及び民間団体と協働して、これを推進していくものとする。

(意見の反映)

第21条 市は、環境の保全に関する施策に、市民、事業者及び民間団体の意見を反映することができるように、必要な措置を講ずるものとする。

(自発的活動の促進)

第22条 市は、市民、事業者及び民間団体が自発的に行う緑化活動、再生資源に係る回収活動その他の環境の保全に関する活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。

(情報の提供)

第23条 市は、環境の保全に関する教育及び学習の推進並びに市民、事業者及び民間団体が自発的に行う環境の保全に関する活動の促進に資するため、個人及び法人の権利利益の保護に配慮しつつ、環境の保全に関する必要な情報を適切に提供するように努めるものとする。

(監視等の体制の整備)

第24条 市は、環境の状況を把握し、及び環境の保全に関する施策を適正に実施するため、必要な監視、測定、検査等の体制の整備に努めるものとする。

(推進体制の整備)

第25条 市は、環境の保全に関する施策について、総合的に調整し、及び推進するため、必要な体制を整備するものとする。

(環境管理等)

第26条 市は、自らが環境管理(環境の保全に関する目標等を定めた行動計画を作成し、実行し、見直す等の一連の取組をいう。以下同じ。)及び環境監査(環境管理の状況についての監査をいう。以下同じ。)を実施するとともに、事業者の自主的な環境管理及び環境監査が促進されるように、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(国及び他の地方公共団体との協力)

第27条 市は、環境の保全のための広域的な取組が必要とされる施策について、国及び他の地方公共団体と協力してその推進に努めるものとする。

第4章 地球環境保全の推進

(地球環境保全の推進)

第28条 市は、地球環境保全に資する施策を積極的に推進するものとする。

2 市は、国、他の地方公共団体その他の関係機関等と連携し、地球環境保全に関する国際協力を推進するように努めるものとする。

(資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用等)

第29条 市は、環境への負荷の低減を図るため、市の施設の建設及び維持管理その他の事業の実施に当たっては、資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の発生の抑制等を積極的に推進するものとする。

2 市は、環境への負荷の低減を図るため、市民、事業者及び民間団体による資源の循環的な利用、エネルギーの有効利用、廃棄物の発生の抑制等が促進されるように、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

(新エネルギーの活用)

第30条 市は、環境への負荷の低減を図るため、新エネルギーの活用に努めるとともに、市民、事業者及び民間団体による新エネルギーの活用が促進されるように、必要な措置を講ずるように努めるものとする。

第5章 川越市環境審議会

(川越市環境審議会)

第31条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、川越市環境審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、環境の保全に関する基本的事項を調査審議する。

3 審議会は、前項に規定する事項に関し市長に意見を述べることができる。

4 審議会は、委員25人以内で組織し、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。

(1) 学識経験者

(2) 公募による者

(3) 関係団体の代表者

(4) 関係行政機関の職員

5 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。

6 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

1 この条例は、公布の日から施行する。ただし、第10条第3項及び第31条並びに次項の規定は、平成18年11月1日から施行する。

2 川越市環境審議会条例(平成6年条例第18号)は、廃止する。

川越市良好な環境の保全に関する基本条例

平成18年9月25日 条例第36号

(平成18年11月1日施行)

体系情報
第8編 生/第2章 環境保全
沿革情報
平成18年9月25日 条例第36号