○川越市中高層建築物建築紛争の予防及び調整条例

平成十三年三月二十一日

条例第七号

(目的)

第一条 この条例は、中高層建築物の建築に係る計画の事前公開並びに紛争解決のためのあっせん及び調停に関し必要な事項を定めることにより、建築紛争の予防及び調整を図り、良好な近隣関係及び生活環境の保持に資することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例における用語の意義は、次項に定めるものを除き、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号。以下「法」という。)及び建築基準法施行令(昭和二十五年政令第三百三十八号)の例による。

2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 中高層建築物 法第八十五条に規定する仮設建築物以外の建築物で、高さが十メートルを超えるもの(地階を除く階数が三以下の一戸建ての住宅を除く。)又は地階を除く階数が四以上のものをいう。

 近隣住民 次のいずれかに該当する者をいう。

 中高層建築物の外壁又はこれに代わる柱の面からの水平距離が当該中高層建築物の高さの二倍に相当する長さの範囲内で、かつ、冬至日の真太陽時による午前八時から午後四時までの間に当該中高層建築物(当該中高層建築物に附属する広告塔、広告板その他の工作物を含む。次号ロにおいて同じ。)により日影となる土地の所有者並びに当該土地の上の建物の所有者及び占有者(以下「土地所有者等」という。)

 中高層建築物の敷地の境界から十五メートルの範囲内の土地所有者等

 周辺住民 次のいずれかに該当する者をいう。

 中高層建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から水平距離が当該中高層建築物の高さの二倍に相当する長さの範囲内の土地所有者等

 冬至日の真太陽時による午前八時から午後四時までの間に中高層建築物により日影となる範囲内の土地所有者等

 中高層建築物を建築する際にテレビジョン放送の電波の受信に著しい障害が生ずると予測される者又は生じた者

 前号ロに該当する者

 建築主 中高層建築物に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者をいう。

 建築紛争 建築主等(建築主並びにその建築物の工事監理者、設計者及び工事施工者をいう。以下同じ。)と周辺住民(以下「関係当事者」という。)との間の中高層建築物の建築に伴って生ずる日照及び通風の阻害、テレビジョン放送の受信障害並びにその工事による騒音、振動等に関する紛争をいう。

(適用除外等)

第三条 現に存する中高層建築物に建築物を増築する場合(当該中高層建築物の高さが増すこととなる場合を除く。)には、この条例は適用しない。

2 前項の規定にかかわらず、現に存する中高層建築物に建築物を増築する場合(当該中高層建築物の高さが増すこととなる場合を除く。)で、その増築に係る建築物が中高層建築物に相当するときは、当該増築に係る建築物を中高層建築物とみなしてこの条例を適用する。

(市長の責務)

第四条 市長は、建築紛争が生じたときは、迅速かつ適正に解決を図るよう努めなければならない。

(建築主等の責務)

第五条 建築主等は、中高層建築物の建築の計画又は建築に当たっては、良好な近隣関係の保持及び形成に努めなければならない。

(関係当事者の責務)

第六条 関係当事者は、建築紛争が生じたときは、相互の立場を尊重し、自主的に解決するよう努めなければならない。

(建築主等の行う措置)

第七条 建築主等は、中高層建築物の工事に当たっては、次に掲げる措置を講じなければならない。

 騒音、振動等の発生を軽減するための最善の方法を採ること。

 車両の出入りに当たっては、他の車両、歩行者等の安全を確保すること。

 ほこりの飛散を防止すること。

2 建築主等は、テレビジョン放送の受信障害の解消については、規則で定めるところにより、必要な措置を講じなければならない。

(標識の設置等)

第八条 建築主は、規則で定めるところにより、中高層建築物の建築計画の概要を記載した標識を設置しなければならない。

2 建築主は、前項の標識を設置したときは、規則で定めるところにより、速やかに市長に届け出なければならない。

(計画の説明)

第九条 建築主は、中高層建築物の構造、規模及び用途その他規則で定める事項を、規則で定めるところにより、近隣住民に説明しなければならない。

2 建築主は、周辺住民から説明を求められたときは、前項に規定する事項を説明しなければならない。

(報告)

第十条 建築主は、前条の規定により行った説明の状況を、規則で定めるところにより、第八条第一項の標識を設置した日から起算して十四日を経過した日以後で、かつ、法第六条第一項の規定による確認の申請書若しくは法第六条の二第一項の規定による確認を受けるための書類を提出し、又は法第十八条第二項の規定による通知をする日の三十日前までに市長に報告しなければならない。

(あっせん)

第十一条 市長は、関係当事者の双方から建築紛争の調整の申出があったときは、あっせんを行う。

2 市長は、前項の規定にかかわらず、関係当事者の一方から調整の申出があった場合において、相当な理由があると認めるときは、あっせんを行うことができる。

3 市長は、関係当事者間をあっせんし、双方の主張の要点を確かめ、建築紛争が公正に解決されるよう努めなければならない。

(あっせんの打切り)

第十二条 市長は、あっせんに係る建築紛争について、あっせんによっては建築紛争の解決の見込みがないと認めるときは、あっせんを打ち切ることができる。

(調停)

第十三条 市長は、前条の規定によりあっせんを打ち切った場合において、必要があると認めるときは、関係当事者に対し、調停に移行するよう勧告することができる。

2 市長は、前項の規定による勧告をした場合において、関係当事者の双方がその勧告を受諾したときは、調停を行う。

3 市長は、前項の規定にかかわらず、関係当事者の一方が第一項の規定による勧告を受諾した場合において、相当な理由があると認めるときは、調停を行うことができる。

4 市長は、調停を行うに当たって必要があると認めるときは、調停案を作成し、関係当事者に対し、期間を定めてその受諾を勧告することができる。

5 市長は、調停を行うに当たっては、川越市建築紛争調停委員会の意見を聴かなければならない。

(調停の打切り)

第十四条 市長は、調停に係る建築紛争について、関係当事者間に合意が成立する見込みがないと認めるときは、調停を打ち切ることができる。

2 市長は、前条第四項の規定による勧告が行われた場合において、定められた期間内に関係当事者の双方から受諾する旨の申出がないときは、建築紛争について合意が成立しなかったものとみなして調停を打ち切ることができる。

(建築紛争調停委員会)

第十五条 市長の諮問に応じ、建築紛争に係る調停並びに建築紛争の予防及び調整に関する重要事項について審議するため、川越市建築紛争調停委員会を置く。

2 川越市建築紛争調停委員会は、委員五人をもって組織し、法律、建築、行政等に関し優れた識見を有する者のうちから市長が委嘱する。

3 委員の任期は二年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

(出頭等)

第十六条 市長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、関係当事者に対し、出頭を求め、その意見を聴き、及び関係図書の提出を求めることができる。

(工事着手の延期等の要請)

第十七条 市長は、あっせん又は調停のため必要があると認めるときは、建築主等に対し、期間を定めて工事の着手の延期又は工事の停止を要請することができる。

(措置命令)

第十八条 市長は、第八条第一項の規定による標識を設置しない建築主に対し、期限を付して標識を設置するよう命ずることができる。

2 市長は、第八条第二項の規定による届出又は第十条の規定による報告をしない建築主に対し、期限を付して当該届出又は報告をするよう命ずることができる。

(公表)

第十九条 市長は、前条の規定による命令を受けた建築主が正当な理由なくこれに従わないときは、その旨を公表することができる。

(国等に対する特例)

第二十条 国及び地方公共団体が中高層建築物を建築する場合には、第十一条から第十七条までの規定は適用しない。

(委任)

第二十一条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

1 この条例は、平成十三年四月一日から施行し、同年五月十五日以後に、法第六条第一項の規定による確認の申請書若しくは法第六条の二第一項の規定による確認を受けるための書類を提出し、又は法第十八条第二項の規定による通知をする中高層建築物の建築について適用する。

2 この条例の施行の際現に川越市行政手続条例(平成九年条例第三号)第三十四条に規定する行政指導により、第八条第一項の標識と同様の標識を設置している中高層建築物の建築については、この条例の規定は適用しない。

川越市中高層建築物建築紛争の予防及び調整条例

平成13年3月21日 条例第7号

(平成13年3月21日施行)