○川越市建設工事損害補償要綱

昭和五十七年二月十五日

告示第十八号

第一章 総則

(趣旨)

第一条 この要綱は、市施行の建設工事に起因し、川越市建設工事請負契約約款(以下「約款」という。)に基づいて処理される第三者に及ぼした損害(以下「第三者損害」という。)に係る補償事務の適正な運用を図ることに関し、必要な事項を定めるものとする。

(適用)

第二条 前条の建設工事の補償事務は、別に定めのあるときはこの要綱によらないことができる。

2 前条の第三者損害の範囲には、当該工事の請負者、施工受託者市その他当事者の有する物件に係る損害を含むものとする。

(審査会)

第三条 この要綱において「審査会」とは、川越市建設工事補償審査会規程(平成十九年三月三十日市長決裁)に基づく審査会をいう。

(平一九告示一七四・一部改正)

(補償の根拠)

第四条 第三者損害の補償は、民法に定める損害賠償責任によるものとする。

(請負者の免責)

第五条 被害者に対する請負者の契約上の補償事務処理責任期間は、工事着手時から工事しゆん工後一年(コンクリート造堅固な建物その他の工作物は二年)までの間とする。ただし、係争中のものはこの限りではない。

(補償の時期)

第六条 補償の時期は、地盤の安定をまつて行うものとする。ただし、次の各号の場合はこれによらないことができる。

 井戸の枯渇等に対する補償

 人身事故が予想される被害で、応急措置では対応できないものに対する補償

2 前項第二号の場合には、所管部長へ事前に協議するものとする。

(補償の方法)

第七条 損害の補償は、原則として機能回復に要する費用とし、金銭をもつて行うものとする。ただし、国、地方公共団体等(以下「官公庁関係」という。)の設置管理するものに対する補償でやむを得ない場合は、現物補償によることができる。

2 損害補償金は、原則として渡し切りとする。

第二章 事務処理

(補償事務の窓口)

第八条 被害者に対する補償事務は、原則として請負者が行い、市はこれに協力する。

2 請負者が補償事務能力を失つたと判断される場合は、市が補償事務を行うものとする。

(事務の手順)

第九条 補償事務の手順は、別に定めるところによる。

(事前・事後調査)

第十条 工事施工前調査(以下「事前調査」という。)及び工事施工後調査(以下「事後調査」という。)は、補償調査要領に基づき請負者が行う。

2 事前調査費用は市費によるものとし、事後調査費用は第十五条第二項に規定する場合を除き、請負者が負担するものとする。

3 第三者損害が発生した場合は、請負者は被害者から要請書を受理し、要請に従つて事後調査を行うものとする。

4 市長は、事後調査を別に指定する調査員に委託することができるものとする。

5 所管部長は、請負者から「事前調査報告書」、「損害発生報告書」、「損害調査報告書」その他必要と認める資料を提出させ、被害状況の把握を負うものとする。

(審査)

第十一条 所管部長は、前条第五項の請負者から提出される報告書により損害の認定、補償額及び請負者の負担割合等に関し、必要事項を審査するものとする。

(審査会への付議)

第十二条 所管部長は、補償額一件が五百万円以上のもの又は、五百万円未満で審査の必要があるもので請負者から認定依頼書、補償費の負担等に関する協議依頼書を受理したときは、審査会を開催し、次の各号の事項について付議するものとする。

 損害の認定に関すること。

 補償額の決定に関すること。

 補償責任区分及び負担割合に関すること。

(市との協議)

第十三条 所管部長は、前条の審議に基づき補償金の限度額、責任区分等について請負者と協議書を交換するものとする。

2 請負者は、前項の協議に基づいて被害者と折衝を行うものとする。

3 協議事項の変更を必要とする場合は、再度協議(以下「再協議」という。)を行うものとする。

4 所管部長は、協議が難航し、又は不調等のため被害者に著しい不利益が生じると判断する場合には、速やかに審査会に事案の処理方針について付議し適切な処理を行わなければならない。

(補償金の支払い)

第十四条 請負者は、被害者との折衝成立後、速やかに補償金を支払うものとし、市は、前条の協議に基づく負担金を請負者からの請求により速やかに支払うものとする。

第三章 補償責任及び補償負担

(補償責任及び補償負担の原則)

第十五条 第三者損害に対する補償は、補償責任を損害発生の原因となつた行為により、市又は請負者に区分し、それぞれの責任の度合に応じ負担するものとする。

2 市の補償責任区分は次のとおりとする。

 契約目的物自体が原因となつた場合

 設計図書又は市の指示が原因となつた場合

 請負者に工事施工に関し必要な情報を提供しなかつたことが原因となつた場合

 その他発注者の責任が認められる場合

3 請負者の補償責任区分は、次のとおりとする。

 請負者が自らの責任で採用した工法が原因となつた場合。ただし、当該工法の採用に誤りが認められない場合は、この限りでない。

 請負者が約款及び設計図書又は市の指示に従わなかつたことが原因となつた場合

 その他請負者の責任が認められる場合。

(請負者との協議)

第十六条 次の各号の場合は、補償負担の割合について、別に定める基準に基づき請負者と協議するものとする。

 市及び請負者の補償責任が競合する場合

 通常避けることができない地盤沈下、地下水継絶等が原因となつた場合で、請負者に補償責任が認められるとき。

第四章 補償基準等

(建物その他の工作物)

第十七条 建物その他の工作物の補償額の積算は、補償調査要領その他必要な資料に基づいて行う。

2 所管部長は、第十三条の協議に際し、前項により清算された見積額に別に定める雑経費を加算して補償額を定めることができる。

3 その他の工作物で、損害の程度が極めて大きく、機能回復が困難な場合は、当該物件と同種同等の物を新設する費用を補償額とすることができる。

(井戸の枯渇等)

第十八条 井戸の枯渇等の補償は、原則として上水道による代替施設の設置費用を補償するものとする。

2 所管部長は、第十三条の協議に際し、前項の費用に別に定める雑経費を加算して補償額を定めることができる。

(官公庁関係)

第十九条 第七条第一項ただし書により官公庁関係に対して現物補償を行う場合は、かし担保等による補償の重復が生じないよう留意しなければならない。

2 前項の事務処理は、別に定める方法によるものとする。

(経費補償)

第二十条 被害の修復工事等のため、一時的に仮住い、その他移転を必要とする場合は、動産移転料、仮住居等に要する費用等の必要経費を実情に即して算定し、補償するものとする。

2 動産移転料は、屋内動産と屋外動産とに区分し、それぞれ算定するものとする。

3 仮住居等に要する費用は、建物等の使用再開までの期間に要する費用とする。

(営業休止の補償)

第二十一条 営業休止の必要を認めた場合は、固定的経費、従業員に対する休業手当相額、休業期間中の収益減、所得減等の補償を行うものとする。

2 休業を要する期間は、実情を十分考慮して適正に定めるものとする。

(家賃減収補償)

第二十二条 貸家、アパート等の修復工事のため、家賃等の減収が認められる場合は、家賃減収の補償を行うものとする。

第五章 雑則

(補償の減額)

第二十三条 補償の公平を図るため、補償対象について被害者の管理に著しい過失が認められる場合は、その程度に応じて補償額を減額することができるものとする。

(その他の補償)

第二十四条 この要綱の定めによりがたい特殊な事情があると認められる場合には、当該事案につき所管部長と事前に協議のうえ処理することができるものとする。

この要綱は、公布の日から施行し、昭和五十七年四月一日以後の契約に係る建設工事損害補償から適用し、同日前の契約に係る建設工事損害補償については、なお従前の例による。

(平成一九年三月三〇日告示第一七四号)

この告示は、平成十九年四月一日から施行する。

川越市建設工事損害補償要綱

昭和57年2月15日 告示第18号

(平成19年4月1日施行)