市指定文化財 笹原門樋
最終更新日:2016年6月14日
指定名称
笹原門樋
(よみ)ささはらもんぴ
員数
1基
指定種別
市指定有形文化財・建造物
指定年月日・指定番号
平成27年3月25日・第232号
所在地
川越市大字古谷上地内
文化財の概要
建設年:明治34年(1901)
旧荒川の右岸堤防に設けられた制水施設で、灌漑用水の取水や増水時の逆流を防ぐ水門の機能を果たしていた。後世にゲートが巻き上げ式の木製スルースに変更されたために面壁の天端(てんば)部分が一部削り取られ、コンクリート製の戸当たりが付加されたとはいえ、煉瓦造の近代土木遺産を特徴づける諸要素を現代まで伝えてくれる貴重な門樋であることには変わりない。水が通り抜ける抗門はアーチ型で、巻き上げ式に変更される前は観音開きの扉で制御されていたと思われる。また、面壁部分の中央には竣工年月日の刻まれた石の銘版が嵌められ、煉瓦は翼壁を含めて全てイギリス積みとなっている。
笹原門樋の際立った特徴は、橋梁の親柱をイメージした2つの塔とその間の面壁天端部分に施された装飾である。つまり面壁天端部分が、煉瓦造建築において軒先を合理的かつ美しく処理するために施されたコーニス(蛇腹)やデンティル積み(歯状装飾)のデザイン・モチーフに着想を得ている点、そして両端に2つの塔を配し、中央に装飾的な面壁天端、石の銘版、アーチの抗門を縦に並べる均整のとれた立面構成をとっている点から推測できるように、設計した技師は単なる土木構築物としてではなく、建築美に劣らない芸術性を試みようとしているのである。
以上のように、笹原門樋は、双塔式立面構成やアーチ、コーニス、デンティル積みといった洋風建築のデザイン・モチーフを駆使して設計・施工されたアーチ型門樋の典型を示す明治の煉瓦造土木遺産であり、部分的に改修が加えられてはいるが、文化財としての価値を十分に備えており、川越市の文化財として後世に向けて保護すべきだと考える。
お問い合わせ
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