名称 |
三軒家樋管 |
よみ |
さんげんやひかん |
種別 |
有形文化財・建造物 |
員数 |
1基 |
所在地 |
川越市大字渋井地内 |
指定年月日 |
平成27年3月25日 |
所有者 |
荒川右岸用排水土地改良区 |
文化財の概要 |
建設年:明治43年(1910) 悪水を新河岸川に吐くための樋管で、呑口(のみぐち)と吐口(はきぐち)のアーチ数と形式が異なる。 呑口は、煉瓦造のsegmental-arch(分円アーチ)で構成され、4重に積まれたアーチ・リングが施されている。面壁部の銘板には、右から「明治四十三年五月戌」と刻まれ、竣工年代を明らかにしている。 一方の吐口は煉瓦造の壁と御影石の堰柱で構成され、2連の分円アーチから成り、アーチ・リングは3重である。吐口を2連のアーチで分割しているのは、開口面積を狭くして、人力による制水の微調整を容易にできるように考えられたようである。3本の堰柱のうち巻き上げ式堰板の縦溝が上部まで残るのは、両端の2本だけで、中央の堰柱には基部しか残っていない。破損して欠けてしまったのか、あるいは当初から無かったのかわからない。なお、両端の堰柱の一部には、石の角を削って煉瓦が5層ずつ嵌め込まれている。これは、石と煉瓦の素材と色によるコントラストを意匠として表現しようとしたと思われる。そして天端には、石の銘板が一文字ずつ埋め込まれ、右から「三」、「軒」、「家」、「樋」、「管」と記されている。 以上のように、三軒家樋管は、呑口と吐口の形状が異なる特異な形式を採用し、際立った煉瓦装飾が施されてはいないが、間口の広い呑口と狭い吐口でアーチ・リングを変えて合理的かつ意匠的に工夫されていることや煉瓦と石のコントラストを巧みに表現するなど、近代土木遺産の特徴を顕著にあらわし、市指定文化財としての価値を十分備えていると考える。 |