名称 |
十文字槍 付青貝螺鈿柄 |
よみ |
じゅうもんじやり ふ あおがいらでんづか |
種別 |
市指定文化財 工芸品 |
員数 |
1口 |
所在地 |
郭町2-30-1 (川越市立博物館) |
指定年月日 |
平成23年2月21日 |
所有者 |
個人 |
備考 |
銘(表) 大慶荘司直胤作之 (裏) 応川越藩安井政章需於武陽東叡山辺文化九年仲春 本作は小ぶりの十文字槍で、中心[なかご]まで含めた全体の長さは58.8cm、身の部分の長さは18.0cmほどである。 この槍は木の柾目[まさめ]のように整った地肌に「直刃[すぐは]」と呼ばれるまっすぐな刃文を焼いている。中心の表には「大慶荘司直胤[たいけいしょうじなおたね]作之」、裏には「応川越藩安井政章[やすいまさあき]需於武陽東叡山辺文化九年仲春」と刻まれている。 この槍の作者である大慶直胤は幕末に活躍した名工で、水心子正秀[すいしんしまさひで]・源清麿[みなもとのきよまろ]とともに江戸三作と賞される。 この槍の注文主である安井政章は川越藩の郡奉行[こおりぶぎょう]として領内の治水事業に尽力し、宝蔵院流の槍術師範としても有名である。こうしたことから、この槍の形や長さは、宝蔵院流槍術の掟どおりに作られている。 また、本作に付属する青貝螺鈿[らでん]塗り柄は、手ずれしており、安井政章はこの槍を手にして稽古に励んでいたものと思われる。 本作は大慶直胤という名工の作であるとともに、川越藩の重臣であった安井政章の所用の品として川越市にとって大変貴重な資料である。 |